せっかくいい工務店と出会えても、実際に家を建ててくれるのは大工さん。いい大工さんに出会えなければ、満足のいく家はできないでしょう。
でも、いい大工さんというのは、どんな人でしょうか。そして、いい大工さんはどこに行けば会えるでしょうか。
今日は、契約後に後悔しないように、事前に大工さんを見きわめるコツをご紹介しますね。
いい大工さんは、技術では見分けられません
いい大工さんの条件とは、何だと思いますか。
技術力!とお答えになった方。たしかにおっしゃるとおりです。
でも、実際に、技術力でいい大工さんかどうかを見きわめられるかというと、そう簡単な話ではなくなります。
というのも、今の一般住宅の建て方では、技術の差はほとんど表に出ることはないからです。それに、工務店が仕事を任せると決めた大工さんは、そもそも、家一軒をひとりで建てられるくらいの技術があると認められているような人ですから、多少の差はあるかもしれませんが、しっかりと仕事をしさえすれば、ちゃんとした家を仕上げることができるでしょう。
とはいえ、実際のことをお話しすると、お客様には見えないところで、私たちプロが見れば、「雑だなあ」と思ってしまうような現場というのはあるものです。
技術はちゃんとあるのに、どうしてそういうことが起こるのでしょうか?
お客様への思いの強さが大工さんの質を決める
雑な家づくりと丁寧な家づくりという違いが生まれてしまうのは、ひとえに、「お客様に喜んでほしい」というその大工さんの思いが、どれくらい強いかということの差だと思います。
たとえば、仕上げ材を取りつけるのに、10個のうち9個を上手に付けられる大工さんと、7個しか付けられない大工さんでは、どちらがいいでしょうか。
じつは、それだけでは判断できません。
お客さんへの思いが強い大工さんなら、失敗した3個を必ずやり直すでしょう。でもそうでない大工さんなら、たとえ9個成功していても、残りの1個を「これくらいならいいや」とそのままにしてしまう可能性があるのです。
それが、丁寧な家づくりと雑な家づくりの差を生んでいるのです。
つまり、いい大工さんに出会うには、お客様への思いの強さを見きわめることが大切なのです。
契約前に、いい大工さんがいるかどうかを確かめたい!
ここでひとつ問題があります。
お客様は、家づくりを任せようと思っている工務店に、いい大工さんがいるかどうかをどうやって知ることができるでしょうか。
実際の家づくりが始まり、現場で大工さんと顔を合わせるようになるのは、工務店の契約が済んだ着工日の前後になります。ましてや、大工さんの仕事ぶりを見てから、やっぱりその工務店との契約を取り消す、というようなことは基本的にはできません。時すでに遅し、というわけです。
でも、心配することはありません。ちゃんと契約前に大工さんの良し悪しを見抜く方法はあるのです。
それには、工務店や、その工務店の営業マンの考え方や態度から、その工務店が家づくりを任せる大工さんの質を推し量るのです。
いい家というのは、お客様・工務店・大工さんの3者の思いが一致して、はじめてできあがるものです。
この3者の関係に注目して、工務店と大工さんがもっているお客様への思いが一致しているか、工務店と大工さんとの間に信頼関係が築かれているかということを、営業マンに質問することによって確かめましょう。
質問でチェック!大工さんと工務店の信頼関係
いい大工さんがいる工務店かどうかを確かめるためには、こんな質問を営業マンに投げかけてみるのがいいでしょう。
Q1 御社には、どういうきっかけでいらっしゃるお客様が多いのですか?
この質問のベストアンサーは、「うちは、口コミでいらっしゃる方がほとんどですね」というものです。すべてがうまくいっていることを表していますので、この言葉が出てきたら最高です。
お施主様が、工務店と大工さんの両方に満足していなければ、いい評判は広まることはないでしょう。もしその答えが本当なら、その工務店には、お客様からの手紙や声などが届いているはずです。その証拠も見せてもらいましょう。
Q2 大工さんの採用基準は何ですか?
その工務店が、お客様に喜んでもらいたいという大工さんの気持ちを重視しているかどうかを見るための質問です。
経験や技術力以上に、人柄や仕事のやりがいをきちんと確認している工務店には、いい職人さんが集まってくるものです。
Q3 どんな大工さんが多いのですか?
漠然とした抽象的な質問ですが、実はこれが一番重要な質問です。
「一生懸命な大工さんが多いですね。うちは、大工さんがいいから、お客様に選んでいただいています」
というように、大工さんへの感謝の気持ちが表れていれば、その工務店と大工さんの関係は良好だと見ていいでしょう。
工務店と大工さんとは、言ってみれば、互いに「鏡」のような存在で、工務店が大工さんを大切にしていれば、大工さんもそれに応えて、その工務店のために尽くそうと頑張るものです。逆に、大工さんをぞんざいに扱うような工務店に対しては、大工さんもそれなりの仕事しかしてくれません。
上のような感謝の言葉を、大工さんがいないところでも口にしてくれたとすれば、その営業マンの気持ちは本物と思ってもいいでしょう。
「私は営業なので、大工さんのことまではちょっと……」
などと言葉を濁すような営業マンだったら、それはちょっと要注意です。
お客様への思いをきちんと共有できていれば、お互いのことがわからないはずはないのですから。
Q4 御社では、大工さんは何年ぐらい勤めているのですか?
答えとして、1、2年ということでも構いません。でも、一番長い人でも1、2年ということだと、大工さんが居ついていないということになりますから、その工務店と大工さんの関係は良好とはいえないでしょう。
この質問をするときは、先に、「大工さんは全部で何人ぐらいいますか?」と聞きましょう。工務店側としては、大工さんがちゃんと居ついているという印象を与えたいと思うでしょうから、年数の長いような大工さんしか教えてくれないかもしれません。全部で何人の大工さんがいて、何年ぐらい働いている人が多いのか、正確な情報を聞き出すようにしましょう。
Q5 今から現場を見てみたいのですが……
大工さんを信頼している会社なら、こんな希望を出しても嫌がらずに、いつでも現場を見てくれるはずです。
お客様との打ち合わせに大工さんが参加したり、現場での細かな仕様決めを大工さんの裁量に任せている会社は、お互いに気持ちよく仕事ができていると考えていいでしょう。
この質問に、「えっ、今からですか。今はちょっと……」と難色を示すようなら、もしかしたら、大工さんに対する不信の念をもっているからかもしれません。
無事に現場を見学することができたら、ぜひ今度は大工さんに、「心がけていることは何ですか?」と聞いてみてください。
「会社から納期厳守と言われていますから、やっぱり仕事の早さですかね」
というように、意識が工務店のほうに向いていて、しかもきつく管理されているような口ぶりだったら、注意したほうがいいでしょう。
しゃべり慣れていなくて、口数が少なくても、「お客様に喜んでもらいたい」という姿勢が見えるようであれば、その大工さんは間違いありません。
契約前に「いい大工さんのいる工務店」を見つける方法 まとめ
いかがでしょうか。
今回は、いい大工さんの見分け方、そしてそんないい大工さんのいる工務店を見つける方法について紹介してみました。
他の記事(「社員と話せば一発でわかる「いい工務店の見分け方」」、「家づくりの成功・失敗を分ける「現場監督の良し悪し」とは?」、「営業マンの「本音」を見抜き、いい工務店を見分ける方法」など)にも書いているように、大工さんを見きわめるポイントもやはり人柄であり、お客様のほうを向いているかということです。
営業マン、現場監督、大工さん、設計担当、そして他のスタッフみんなの力を一致団結させ、そこにお施主様も加わって、強力なチームワークのもとに、家づくりは進められていきます。
ぜひ、いい大工さんのいる工務店を見つけて、後悔のない家づくりをしてくださいね。
「実際の家を見て、イメージを言葉で伝えられるようになろう」という記事でもご紹介していますが、私たちトップホームズの毎月開催している見学会には、当社自慢の職人さんが参加しています。ぜひ直接話して、いい大工さんかどうかを見きわめてください。
また、これは山梨だけではなく、全国的な傾向ですが、職人さんは年々減少している傾向にあります。そこにもってきて、いわゆる「オリンピック需要」や、消費税増税前の「駆け込み需要」のために、このところ、職人さんはどこでも不足しているのです。
こんなときは、多少難あり訳ありの職人さんでも、引く手あまたの状態です。当然、そんな職人さんがお客様にあたってしまう可能性も高くなります。
増税を理由に契約を急かしてくるような営業マンも多いと思いますが、だからといって、決して焦ってはいけません。
駆け込みが落ち着けば、難ありの職人さんはきっと姿を消し、いい職人さんの比率が高まることになるはずです。それまで待ったほうが、お施主様にとっては得策になるでしょう。
消費税分がもったいないと思われるかもしれませんが、実際には、増税後は値引きするつもりの会社も多いと思います。金額的に増税前が得だとは必ずしも言えませんよ。
今回もお読みいただき、ありがとうございました。
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